「以下の3つの評価軸で各メンバーの企画案を採点しませんか?」
・集客ができること
・売上アップ
・面白さ
グループディスカッションで他のメンバーからこう提案された時に、君ならどう切り返すだろうか?
討議メンバーの皆さん、こんにちは。
GDコンサルタントのG.D.佐藤(ジー・ディー・さとう)です。
こちらのページで説明したように、グループディスカッションには様々な形式があるが、意外とよく使われるのが、メンバー各々が1企画ずつをプレゼンし、その中でもっとも優れた案を全員の総意で選ぶという形式だ。
たった一つの案しか選ばれないわけなので、自分以外のメンバーはすべて敵。いわばバトルロイヤル。
「自分自身の案が採用されるよう、他のメンバーを全員論破して叩き潰してやる!」
といった意気込みで取り組むメンバーは、実は10人に1人もいない。こういう攻撃的なメンバーは、見ている側からすると面白いのだが、
「みんなが納得できるよう、民主的なやり方で決めましょうよ」
というスタンスで取り組むメンバーがほとんどなのだ。
この場合は「じゃあ、どうやって決めるか?」に着目することになる。
中途半端に合理的な考えのメンバーが過半数を占めると、「多数決にしよう」ってことになるのだが、これはグループディスカッション全体の評価が下がるのでおすすめしない。せっかく話し合いで決めるのだから、みんなの意見をしっかりすり合わせ、納得した上で決めてほしいものである。
そこでよく出てくるのが、
「じゃあ、評価基準を決めて、それぞれの案を採点していきましょう」
というもの。
たとえば「新規性」とか「収益性」とか「継続性」といった評価の基軸を選び、それでもって各メンバーの案を評価していくこの方法は、メンバーの納得感が得られやすく、合意形成を進める上で有効な方法だ。
ただし、このような軸出しをする際には、使い方を誤ると議論全体が迷走するので注意してほしい。
多いのが、評価基準のレベル感や統一感がなく、一体何を評価したいんだかわからないケース。
・集客ができること
・売上アップ
・企画の面白さ
この評価基準の致命的な欠陥に、君は気づくことができるだろうか?
これら3つの評価基準はそれぞれ独立しておらず、因果関係でつながっているのだ。
つまり、
「企画の面白さ」があれば「集客ができる」し、集客ができれば「売上アップ」につながる。
こんな因果関係がぐるぐるつながった3つの軸で評価しようとしても、議論が無駄に混乱するばかりだ。
この場合、企画案に面白さがあれば、残りの2つの基準を満たすことができるのだから、要は面白いかどうかさえ議論できればいいのである。
評価基準を提案する場合には、それぞれの評価軸の関係性を意識しながら、抜け漏れや重複のない評価軸を考えてほしい。